疲労回復のお話
「最近、なかなか疲れが取れないのよね〜」
周りでそんな会話をよく耳にしませんか?最近では、疲労から睡眠障害を起こしたり、鬱のような精神疾患になったり、さまざまな病気の原因になっていることがわかってきました。
今回は、そんな疲労についてのお話をしてみたいと思います。
疲労とは?
疲労は、「痛み」「発熱」と並んで、生体の3大アラームと言われ、身体にとって生命と健康を維持する上で重要な信号の1つとされています。
疲労の定義は「精神あるいは身体に負荷を与えた際に作業効率(パフォーマンス)が一過性に低下した状態」とされています。簡単に言うと、疲れると自分ではやっているつもりでも作業効率が落ちるということです。
疲労の分類
疲労をいくつかの分類に分けると下記の通りです。
1) 末梢性疲労と中枢性疲労
2) 生理的疲労と病的疲労
末梢性疲労:
脳以外の身体(末梢)、すなわち筋肉などに由来する疲労感覚を感じる状態
中枢性疲労:
脳が主体となって疲労を感じている状態
生理的疲労:
基礎疾患のないもので、自然の状態で回復が可能な範囲で、活動量が休養のレベルを上回る場合に現れるもの。
病的疲労:
癌、AIDS等の身体疾患やうつ病、睡眠障害等の精神疾患が存在する場合や慢性疲労症候群等、持続的な疲労を特徴とする疾患による疲労のこと
最近の疲労は「中枢性疲労」が増えてきているのが特徴です。
パソコンを活用する仕事が増えてきた結果、身体は疲れていないが脳が疲れているという人が急増しています。
それにより、病的疲労へつながっていくケースも見られます。
30年前の調査でもほぼ現在と同程度の比率で疲れている人がいましたが、そのほとんどが翌日になると解消されている末梢性の疲労だったことがわかっています。
疲労が起きるしくみ
疲労は様々な原因で起きます。
その理由として下記のようなものが挙げられます。
1) 長時間のストレス負荷によるもの
2) エネルギー不足
3) 脳の調整力ダウン
4) 脳内伝達物質不足
5) 病気による
6) 過度の運動や仕事
疲労対策法について
上記の理由から、きちんとした栄養補給、適度な休息が疲労対策に必要なことがわかります。
また、一般的に入浴や睡眠を効果的に取ることも必要です。
1.栄養面
●脳の伝達物質(セロトニン)の原料になるトリプトファンの摂取
●疲労に関わる活性酸素を除去する抗酸化物質の摂取
●エネルギーを生む際に必要となるビタミンB群の摂取
●女性では鉄分の欠乏も疲労の原因なので、補給する
●アミノ酸の摂取(イミダペプチド→渡り鳥の筋肉に含まれるアミノ酸結合体)
2.休息・睡眠
●昼寝の工夫
●睡眠時無呼吸症候群の確認と罹患時の治療
●同じ姿勢での仕事の時には定期的な休息と運動(ストレッチなど)
3.香り・カフェ
●緑の香りは疲労を解消する効果があることが確認されている
●コーヒーやハーブのアロマもリラックス効果がある
4.入浴・マッサージ
●血行を良くすることによるリラックス効果
今までは、入浴やマッサージ・コーヒー・ドリンク剤といったものが中心に疲労回復に使われてきましたが、最近では大阪市立大学の研究が進み、アロマの疲労回復効果やイミダペプチドの効果とその商品化が進められて、徐々に疲労を科学して解消するようになってきました。
特にイミダペプチドは、渡り鳥の胸肉に高濃度に含まれている成分で、このアミノ酸結合体のお陰で渡り鳥は疲れにくいということが分かりました。すでにドリンク剤として商品化しており、我々でも買うことが可能です。
それから、疲労は活性酸素が原因であるという研究も実施されており、抗酸化物質の摂取により、疲労の抑制が可能であるのではないかと言われています。
【関連情報】http://www.med.osaka-cu.ac.jp/fatigue/topics/hirou.html