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月経困難症をやわらげるには

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月経時には、程度の差こそあれ、ほとんどの女性が不快な症状を感じているものですが、月経期間中に起き上がるのがつらいほど痛みが強くて学校や会社を休んだり、家事ができないほど痛みが強くて寝込んだり、日常生活に支障をきたすほど強い生理痛を伴う場合、もしかするとそれは「月経困難症」かもしれません。
ここでは「強い生理痛=月経困難症」として月経困難症の原因や治療法に関してお伝えしたいと思います。

月経困難症とは?

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「月経困難症」と「生理痛」は同じように考えられることも多いのですが、月経と同時に、またはその前後にみられる下腹痛や腰痛をはじめ不快な症状で、これが病的にひどく、日常生活に支障をきたし治療を必要とするようなものを「月経困難症」といいます。一般的な生理痛とは区別されており、症状も人によってさまざまですが、生理に伴い、
「痛みがひどく、横たわっていないと耐えられない」
「つらくて学校や会社に行けない」
「家事すらも出来ない」 
といった症状から、下腹部痛や腰痛に加えて、お腹の張り、吐き気、食欲不振、下痢、頭痛、むくみ、倦怠感、眠気、イライラ、憂うつなども含まれます。
よって、月経困難症の女性にとって生理の期間はとてもつらい時期になります。

月経困難症の原因は?

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月経困難症は、原因の分からない「原発性(機能性)月経困難症」と原因を特定できる「続発性月経困難症」に分ける事が出来ます。その頻度は原発性が75%、続発性が25%と言われています。
「原発性(機能性)月経困難症」は、月経周期のうち卵子が放出される時期にだけ痛みがあります。この痛みは、月経中に分泌されるプロスタグランジンが原因と考えられています。プロスタグランジンは生理活性物質で、子宮を収縮させたり、血流を減少させたり、子宮内の神経を痛みに敏感にさせる作用があります。「原発性(機能性)月経困難症」の人はこのプロスタグランジン値が高くなっています。
「続発性月経困難症」は、原因としてよくみられるのが、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、骨盤内うっ血症候群、骨盤内感染症などの疾患です。子宮頸部が狭くなっている人では、月経血がそこを通ると痛みが生じることもまれにあります。子宮頸部は生まれつき狭いこともあれば、ポリープの切除や、子宮頸部の前癌状態(異形成)または癌の治療によって狭くなることもあります。卵管の炎症、腹部臓器間の癒着(線維組織の異常結合)など他の病気による腹部の痛みが月経中に悪化することもあります。

月経困難症の診断と検査

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月経困難症の診断にはさまざまな検査がありますが、カラダの状況に合わせて婦人科医の判断で選択されることになるかと思います。軽度な場合は、薬を投与して様子を見ることが多く、こうした治療で効果が得られない場合には、検査を行って痛みの原因を特定します。
検査としては、内診、直腸診、CT(超音波断層法)などにより器質的疾患の有無を調べることから始めます。
器質的疾患(きしつてきしっかん)とは、内臓や神経、筋肉、器官といった各組織において病理的・解剖的な異常が生じた事により引き起こされる疾患・疾病のこと。

子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮の奇形の診断にはMRIが有用です。
また子宮内膜症、子宮腺筋症が疑われる場合は、補助診断として血液中のCA125(腫瘍マーカーのひとつ)を測定することもあります。
子宮筋腫などの原因を特定するため、へその下を小さく切開し、腹腔鏡を挿入して腹腔の中を調べることがあります。また腟から子宮に挿入する子宮鏡で子宮の内部を調べることもあります。それ以外にも、子宮頸管拡張と子宮内掻爬、子宮卵管造影などの検査方法もあります。

月経困難症の治療

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月経困難症の治療は、薬物療法がメインになります。
原発性(機能性)の場合はプロスタグランジンが影響しているので、非ステロイド性の鎮痛剤がよく効きます。
ロキソニンやボルタレンといった薬剤です。
最近では、2008年に新薬で認められたピル(ルナベル)も良く使われるようになりました。
ルナベルは「子宮内膜症に伴う月経困難症」の適応を有しています。その他にも漢方薬や代替療法として、鍼灸を活用するケースもあります。ストレスが原因の月経困難症には有効なようです。
月経困難症がほかの病気によって起きている場合は、可能であればその病気を治療します。
子宮頸部が狭くなっている場合は手術で広げることもできますが、多くの場合その効果は一時的です。必要であれば、子宮筋腫や子宮内膜症による異常な子宮内膜組織を手術で除去します。

月経困難症と生活習慣

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月経困難症はストレスが原因でなることがよくあるので、ストレス対策は症状緩和に効果的だと言われます。
特に症状が出やすい時期の前から、出来るだけストレスをためないように、自分自身をコントロールすることができるといいですね。
月経困難症の方は、症状が出る前に日帰りで温泉に行ったり、アロマやマッサージに行くことなどもオススメです。
日常を離れ、のんびりとリラックスして過ごすことで、かなり症状が和らぐ方も多いようです。
また、運動も症状緩和にはとても役立ちます。月経痛は骨盤内の血液循環が悪くなって、うっ血しているために起こるケースも多くあるからです。適度な運動は全身の血行をよくしてうっ血を解消し、痛みを軽減する効果もありますし、もちろん、ストレス解消にもオススメです。
食事面では、『鉄分』を積極的に摂り入れられる食生活を心がけることも大切です。鉄分はカラダの中で重要な役割を果たしています。月経困難症の方はどうしても不足になりがちなので、意識的に摂取したいものです。